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「賢いif文」で魔法は撃てるか

Date:2026.09.30 Posted by:SS

 

「氷よ、彼の者を貫け」

マイクに向かってそう唱えると
画面の中で氷の槍が飛んでいく。

ここ数日、そんなことを考えていました。

———

こんにちは。開発のSSです。

きっかけは
9月15日に公開された一つのAIでした。

「Jev」
アメリカのTypeSafe AIという会社が作ったものです。

調べてみて最初に目に飛び込んできたのは数字でした。

シード調達、4000万ドル。
速さも安さも、既存のAIの「2桁」上。
記事によって100倍だったり、400倍だったり。

正直なところ
数字の大きさよりも
そのバラバラ具合のほうが気になりました。

どれも自社での測定だそうです。

さてさて。

数字はいったん脇に置いて中身を読んでみますと
これが少し変わったAIでした。

文章を書かないのです。

AIといえば
話しかければ文章で答えてくれるもの。

それが当たり前だと思っていたのですが
Jevは判断だけを返してくれる部品なのだそうです。

状態を渡して
型のついた質問を投げると
決められた選択肢の中から答えが返ってくる。

平文では返ってこない。
決めた枠の外の値は、そもそも返せない。

ある紹介記事には
「賢いif文」と書いてありました。

この一言が、妙に腑に落ちまして。

この問い合わせは苦情なのか、そうでないのか。
このレビューは褒めているのか、皮肉なのか。
このメールは今すぐ返すべきか、明日でいいのか。

普通のコードでは書きにくい、曖昧な線引き。
そこを高速でさばいてくれる係、といったところでしょうか。

では、その「曖昧な判断」をどこに置くと面白いのか。

正確さが命の業務に
いきなり入れるのはまだ少し怖い。

ならばいっそ
曖昧なほうが楽しい場所に置いてみたい。

そこで冒頭の呪文ゲームです。

「氷よ、彼の者を貫け」

この一言から
・属性は氷
・威力は中くらい
・形は貫通
という判定が型で返ってくれば
あとは画面に魔法を描くだけ。

もともと正解のない判定ですから
多少ズレたところで
それはそれで盛り上がる気がします。
(炎を唱えたのに水が出たら、それはそれで笑えそうです)

実はこれ、遊びだけの話でもありません。

仕事の中にも
人がなんとなく決めている線引きは
案外たくさんあります。

経費の申請を、そのまま通すか、一度確認するか。
迷惑メールに振り分けられた一通が、本当に迷惑メールなのか。
日報の一文が、ただの感想なのか、トラブルの兆しなのか。

一つひとつは小さな判断でも
毎日積み重なると、馬鹿にならない手間です。

かといって
全部を機械に任せきれるかというと
それも心許ない。

そこで気になったのが
Jevが答えと一緒に返す
「どれくらい自信があるか」という数値です。

自信のある判定はそのまま通して
迷ったものだけ人が見る。

そう考えると
呪文の判定と案外同じ形をしているような気もしてきます。

こういう新しいものが出るたびに
これは何に使えるだろうと考える時間が
実は一番楽しかったりします。

どこまでを機械に任せて、どこから人が見るのか。
その線引きも含めて
自分たちの手で楽しみながら確かめていきたいと思います。

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